先日、ある講演の音声を聞きました。
その中に、少し変わった理論がありました。
芋の先には、芋がついている。
たった一個の芋をつかむと、その先に次の芋、その次の芋が芋づる式についてくる。
だから、大きなことをやるためにたくさんのことをやらなければ、と思い込むのは愚かだ、という話でした。
聞いた瞬間、頭に浮かんだのは畑ではなく、プラントの制御盤でした。
電気屋の言葉に置き換えると、これはシーケンス制御の話です。
今日はその話を書きます。
最初の接点が閉じないと、二番目は永遠に動かない
私が管理しているプラントの設備は、起動ボタンを一つ押すだけで、順番に立ち上がっていきます。
冷却水のポンプが回る。
その運転信号が入ると、次のファンが回る。
ファンの運転信号が入ると、次の機器が動く。
前の機器が動いているという条件が成立して、初めて次の回路に電気が流れる。
これをシーケンス制御と言います。
大事なのは、ここからです。
どんなに複雑なシーケンスも、最初の接点が閉じなければ、二番目以降は永遠に動きません。
図面の上で百個の機器がつながっていても、関係ありません。
最初の一個が入らなければ、全部止まったままです。
逆に言えば、最初の一個が入れば、あとは回路が勝手に次を呼びます。
講演の芋の話は、私にはこう聞こえました。
人生は、シーケンス制御でできている。
十個やらなきゃ、と思うからしんどい
講演で出ていた例は、早起きでした。
朝五時台に起きる。
それだけでは、ちっぽけな芋です。
でも、起きられたら水が気持ちよく飲める。
せっかくならベランダで飲む。
太陽を浴びると、変なものを食べたくなくなる。
午前中の仕事がはかどる。
昼にゆとりが出る。
定時で帰れる。
家族に優しくできる。
やったのは、早起き一個だけです。
講演者の言葉で一番刺さったのは、ここでした。
「それを十個やらなきゃって思うからしんどいんですよ」
制御盤の前で考えると、これは当たり前のことです。
運転員は、百個の機器を同時に起動しようとはしません。
最初のボタンを押すだけです。
ドラクエでも、いきなり竜王には挑めませんでしたね。
最初のスライム一匹が小銭になり、レベルになり、次の町への道になる。
誰もあの一匹を「意味がない」とは言いませんでした。
現実の早起きや日記の一行を「意味がない」と言うのは、スライムを飛ばして竜王に行こうとする話なのかもしれません。
私の最初の接点は、参考書を開くことだった
振り返ると、電験三種の勉強がそうでした。
三年計画とか、一日三時間とか、最初に決めたわけではありません。
夜、参考書を一ページ開く。
それだけを続けていました。
開くと、一問解きたくなる。
解けると、次の章を見たくなる。
気づいたら、試験の申し込みをしていました。
ブログも同じで、最初の接点は「一記事書いてみた」でした。
最近だと、AIに一つ質問してみた、が最初の接点になった人をよく見ます。
そこから調べ方が変わり、仕事の段取りが変わり、発信が始まる。
先の設計図は要らないのだと思います。
最初の接点を閉じるだけです。
ただ、一つだけ正直に書いておきます。
講演の連鎖は、きれいにつながりすぎています。
現場で警報が鳴れば、昼にゆったり飯を食う段は飛びます。
連鎖が途中で切れた日にどうするかは、次の記事で書こうと思います。
まとめ
芋の先には、芋がついている。
電気屋の言葉で言えば、人生はシーケンス制御でできている。
– 最初の接点が閉じないと、二番目以降は永遠に動かない
– 十個やらなきゃ、と思うからしんどい。押すのは最初のボタン一個
– 先の設計図は要らない。回路が勝手に次を呼ぶ
今夜は、明日の最初の接点を一個だけ決めて寝ます。
五時台に起きて、ベランダで水を飲む。
それだけです。
静かに暮らしたいです。
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